研究概要 |
近年のハードディスクドライブ等の情報機器の小型化かつ大容量化,MEMS技術による多機能センサの高精度化の要求を満たすためには,数十kHz程度の高周波数帯域に固有振動数を有する超小型機器の振動問題を実験的に解決することが必須である.しかし, 数kHz程度の低/中周波数帯域を対象とした従来の振動実験解析法では対応できない.そこで,レーザーアブレーションを用いたインパルス加振に基づくMEMS等の超小型機器のための高周波数帯域における非接触振動実験解析法を提案する.高出力Nd: YAGレーザーを被照射部にナノ秒オーダーでパルス照射しレーザーアブレーションを瞬時に発生させることで,理想的なインパルス加振入力を作用させ高周波数帯域の非接触加振を実現する. 平成24年度は,(1)レーザー加振を用いた理想的な点音源による音響加振法,(2)非接触実験モード解析法を検討し,以下の結論を得た. (1) レーザーアブレーション(LA)音源による音響加振法について検討した.計測対象音場内に設置された微小片に対して,高出力Nd: YAGレーザーをパルス照射することで,LAを発生させ,これにより生成された衝撃波を用いた音響加振システムを構築した.微小空間をLA音源により音響加振し,本手法および理論的に得られた共鳴周波数を比較・評価し,本手法の有効性を示した. (2) 水中構造物の動特性を振動実験により得るために,レーザー加振を用いた非接触振動実験システムを構築した.本システムにより計測された,水中構造物の周波数応答関数(FRF)を,流体の影響を考慮したFEMにより得られたFRFと比較・評価することで,従来では困難とされてきた加振入力を水中とした際のFRF計測を実現できることを示した.また,非線形性の弱いモードを対象に実験モード解析を行ったところ,水中構造物の動特性が同定できることを示した.
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