平成22年度においては、まず永久磁石リラクタンスジェネレータ(PMRG)の小型風力発電への適用を目指し、200rpmで約800Wの出力が得られる極数の選定を行った。その結果、直径は410mm、極数は固定子極を60極、回転子極を80極とすることで、回転数が200rpm時に約800Wの出力が得られることが明らかとなった。ただし、体格および重量が増大することから、このままで小型風力発電に適用することは容易では無いことも同時に明らかになった。今後は、磁気ギアなどを用いて増速することについても検討を行う予定である。 次いで、PMRGのトルクリプルを低減する手法について検討を行った。PMRGは両突極構造を有し、磁気回路の磁気抵抗変化により、巻線鎖交磁束を周期的に変化させることで発電する。そのため、コギングトルクやトルクリプルが大きいという問題がある。これまでに、同一形状の複数のPMRGを空間的位相をずらして接続し、トルクの高調波成分を打ち消す手法や、これに加えて極先端の一部を切り欠くことで大幅にリプルを低減する手法について検討を行ってきた。今年度は、1対の永久磁石の片方を、励磁巻線に置き換える手法について検討を行った。これにより、無励磁状態では永久磁石の磁束は固定子ヨークを還流するため、原理的にコギングトルクがゼロになる。また励磁巻線をヨークに設けることによって、励磁磁束を制御できるようになるため、トルクリプルの低減や出力電圧の一定化が可能になる。今年度の検討により、小型の試作機を製作したことから、来年度以降は実機を用いて実証試験を行う予定である。
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