研究課題
ナノ・マイクロ技術を駆使することにより、空間分解能がnm-数百μmオーダの高分解電荷密度分布測定システムを構築し、これにより、帯電電荷により発生、進展する沿面放電の微細構造など従来の手法では測定不可能であった帯電・放電現象の高分解計測を行い、絶縁物の帯電、沿面放電機構、そして帯電と材料表面物性との相互作用を解明することを目的とする。本年度はプロトタイプの開発を終えた電気光学センサや、MEMSセンサを改良設計していくことで、その分解能を数μmまで改善することに取り組んだ。電気光学センサについては、測定ピッチ(現状:10μm)を5倍(2μm)細かく計測が行えるよう改造を行った。併せて薄型電気光学結晶の設計を行い試作を行ったので、周辺装置がそろい次第帯電測定を行う予定である。並行して、MEMSセンサの開発を行った。これは幅1μmの測定プローブを沿面ギャップ(100μm)間に直線状に10個配置し、その出力をCMOSソースフォロア回路で読み取る構造である。CMOS読み取り回路は3.3Vと低電圧で動作させるのに対し、沿面ギャップには300V~500V程度の高い電圧のパルスを印加するので、電源からの放射ノイズ、誘導ノイズに注意してCMOS読み取り回路の周辺回路の設計、製作を行った。周辺回路を動作チェックを行ったところ、問題なく動作することまでは確認できたが、CMOSチップに300Vを印加したところ、チップの絶縁設計が想定値の半分以下と極めて弱く、空気中で沿面放電を発生させられる電圧以下でセンサ内部に貫通破壊してしまうことがわかった。現在10μm厚の絶縁フィルムを載せ、CMOSチップの電気的な応答特性のチェックを現在行っている。これら応答特性の結果も反映させて、次年度にはMEMSセンサの改良設計を行う予定である。
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