研究課題/領域番号 |
22686032
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
寺井 慶和 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (90360049)
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キーワード | 鉄シリサイド / シリサイド半導体 / シリコンオプトエレクトロニクス / 分子線エピタキシー / エピタキシャル成長 / 変調分光法 / フォトリフレクタンス |
研究概要 |
シリサイド半導体β-FeSi_2は、近赤外の波長領域で受・発光機能を示す新規シリコン光エレクトロニクス材料と位置づけられる。本研究では、能動的にひずみを導入しβ-FeSi_2のバンド構造を制御することで、受・発光機能の高機能化を目的としている。研究の過程において、従来報告値より二桁残留キャリア濃度の低い高品質β-FeSi_2の作製に成功した。そこで、今年度は実施計画を追加し、下記の研究成果を得た。 1.高品質β-FeSi_2/Si(111)エピタキシャル膜における伝導機構の解明 本研究でSi(111)基板上に作製した高品質β-FeSi_2の伝導機構を調べた結果、高温領域(190K~室温)ではバンド伝導、中温領域(80~190K)では局在伝導、低温領域(80K以下)ではホッピング伝導が支配的であり、温度に依存して伝導機構が変化することが明らかとなった。本研究以前の報告では、β-FeSi2薄膜中には多量の結晶欠陥が導入されているため、欠陥バンドを介した伝導機構が全温度領域で支配的であるとされていた。それに対し、本研究で作製した高品質β-FeSi_2薄膜では欠陥密度が低いため、薄膜に真性の電気伝導がはじめた観測された。 2.Ge添加β-FeSi_2(β-Fe(Si_<1-x>Ge_x)_2)の作製 前年度の成果をふまえ、Siの供給量が実効的に少なくなる成長条件下でSi基板上へのGe添加 β-FeSi_2の作製条件の最適化を行い、はじめてβ-Fe(Si_<1-x>Ge_x)_2のエピタキシャル成長に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高品質β-FeSi2の作製に成功したことにより実施計画が追加されたが、当初計画のβ-Fe(Si_<1-x>Ge_x)_2のエピタキシャル成長を達成していることからおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は申請時の実施計画に基づき研究を遂行することで、目的の達成を目指す。想定外の結果が得られたため実施計画が増えたが、申請時の実施計画に変更はない。
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