研究概要 |
近年,情報技術の発展により通信速度が飛躍的に向上し,ネットワークを介したリアルタイム制御が可能となり盛んに研究されている.これらの技術の発展により,遠隔ロボット操作などによる遠隔地手術や宇宙開発,あるいは原子炉などの危険な場所における作業などの実現が期待されている.ネットワーク化制御系では,通信路を介してデータが送信されるため量子化器によりデータが圧縮される.信号が量子化されるということは,情報量が減少することを意味する.詳細な情報を伝送するためには,分解能を高くする必要があるが,その場合必ずしも制御に必要でない情報を伝送することがあるため伝送時間の増加や伝送路の占有など,系の特性を悪化させる.逆に分解能が低い場合には,通信や計算のコストが低減する一方で元のデータとの量子化誤差が増大するため単純なフィードバック制御では,所望の制御性能を得られないばかりか最悪の場合システムが不安定になることがある. そこで本研究では,制御に必要なデータを適切に伝送し,ネットワーク化制御システムを安定化させる量子化器の設計手法を提案した.提案手法では,通信容量の制約を陽に扱い,離散変数や量子化された変数が混在する中で,量子化器の分解能幅を動的に変化させることができる.提案手法の有効性を2次元板上のボール位置制御装置に適用し,画像情報をリアルタイムでダイナミックに量子化することで,所望のボール位置決め制御が可能であることを明らかにした.
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