橋梁上を走行する車両の応答から,橋梁の状態を推定する理論を構築するために,数値シミュレーションおよび模型実験,さらには実際の橋梁における実験を通じ,理論の構築と検証を行った.本年度では,車両応答から橋梁の固有振動数を推定する際に,様々な要因によってノイズが混入する点について,容易に計測が行えるという利点を活かしたノイズ処理法について検討を行った.固有振動数の推定については,損傷の存在により振動数そのもの値(平均値)だけでなく,ばらつき(分散)が変化することを見出しており,そのことを模型実験により検証した.その結果,300回走行したデータから得られた橋梁卓越振動数推定値の分散は,橋梁の状態によって変化することを見出した.これより,複数回走行することで,推定値の精度が向上できることが確認できた.
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