研究課題/領域番号 |
22686048
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
井料 隆雅 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10362758)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 進化ゲーム / 情報探索行動 / バーチャルリアリティ / ミクロ歩行者流モデル |
研究概要 |
本研究で提案する「時空間進化ゲーム」は,「進化ゲームの動学」「物理的制約」「移動の需要」の3つの要素からなる.平成24年度は,これら3要素のうち「進化ゲームの動学」「物理的制約」の改良を行い,「移動の需要」の定式化と実装を行った.さらに,時空間進化ゲームの完成形の特性分析と実証実験を行った.「進化ゲームの動学」の改良については,複数均衡解に関する問題や均衡解の安定性に問題がある場合など,均衡解の特性に問題があるケースに対処する方法について研究を行った.複数均衡解についてはその発生可能性について検討を行い,現実に問題となりうるのは複数均衡解よりも安定性の欠如のほうである可能性を指摘した.安定性に問題がある場合についてはマルコフ連鎖による(Day-to-dayの)動学化による対処手法を研究したが,これについては計算コストに関する課題もあることがわかってきている.「物理的制約」の改良については,前年度の特性分析の結果を参考に主に計算コストの削減について改良を行い,それを後述の実験システム構築に反映している.「移動の需要」の定式化と実装については,特に情報収集行動について情報の収集コストとメリットのトレードオフを考慮したモデルについて検討し実装した.以上の要素を構成し,時空間進化ゲーム完成形の特性分析を行った.バーチャルリアリティシステムを用いた実験システムについては,過年度に構築済みの歩行者対応型のシステムをビークル型交通手段にも対応できるように改良した.実験については特に情報収集行動に重点を置いたものを2種類実施した.うち1種類は歩行者VRシステムによるもの,もう1種類は情報収集行動に特化した多人数参加型実験システムによるものである.これらにより,理論的な特性分析でも予想された情報の偏在化や複数均衡解の存在を示唆する結果が出ている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本的には計画通り進行している.バーチャルリアリティの改良に関しては機械駆動部分の構築を要し,これに関する業者との技術的交渉に予定を超過した時間を要したが,計画全体の遅延に直結するにはいたっていない.
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今後の研究の推進方策 |
次年度(平成25年度)は最終年度であり,ケーススタディを予定通り実施する.ただし,時空間進化ゲーム完成形の特性分析については本年度は概ね良好に実施できたが,改良できる点も複数あることが見えてきており(他研究者との競争という点も含めて),ケーススタディへの反映も意識しつつその見直しと改良を可能な範囲で並行して行っていきたい.
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