研究課題
本研究は、全世界で多大な被害を出しているノロウイルスに関し、その水環境中動態に大きな影響を与えると考えられるノロウイルス吸着性ヒト腸内細菌に着目し、その存在の証明と吸着部位の同定を行うことを目的としている。平成25年度においては、これまでに分離されたノロウイルス吸着性腸内細菌であるEnterobacter sp. SENG-6に加え、ノロウイルス吸着部位となる血液型決定抗原(Histo-blood group antigen: HBGA)様物質を保持しないEscherichia coli AKN123を取得し、これらの菌株と複数のノロウイルス遺伝子型(GII.3、GII.4及びGII.6)粒子との相互作用を評価した。相互作用評価においては、ノロウイルス様粒子と菌株の混合液を孔径0.22マイクロメートルのメンブレンフィルターでろ過し、菌株に吸着しなかったノロウイルス様粒子だけを検出することで、どの程度の量のノロウイルス粒子が菌株へ吸着していたかを確認した。その結果、HBGA陽性菌株であるEnterobacter sp. SENG-6に対してはGII.4及びGII.6のノロウイルス粒子が良く吸着したが、HBGA陰性菌株であるEscherichia coli AKN123へはどの遺伝子型のノロウイルス粒子も吸着しなかった。以上の結果は、下水処理で用いられる活性汚泥の細菌相によって、ノロウイルスの吸着による除去効率が大きく変化することを示唆するものである。以上の成果は、HBGA陽性細菌がノロウイルスの動態に大きな影響を与えることを示すことを目的とした本研究が、予想を上回る程度に進展したことを示していると言える。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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