研究課題/領域番号 |
22686054
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研究機関 | 独立行政法人建築研究所 |
研究代表者 |
赤嶺 嘉彦 独立行政法人建築研究所, 環境研究グループ, 研究員 (40447420)
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キーワード | 自然エネルギー / 通風 / 実験 / 可視化 / シミュレーション |
研究概要 |
日本の住宅における通風の活用は気候風土に順応した必要不可欠な技術であり、その研究の歴史は古い。しかし、「建物周辺状況・建物性能・住まい方」など通風活用における前提条件は近年、著しく変化しており、通風の効果的な活用やその計画法の整備にあたっては、今一度、現状の通風気流性状の実態を把握することが必要である。本研究では、先ず、現在の測定・解析技術を駆使した気流性状の現場計測法を開発する。次に、その測定法により、通風時の室内気流性状の実態を把握し、住宅の省エネかつ快適な運用を目指した通風計画を提案することを目的とする。 平成23年度は、通風による冷房エネルギーの削減効果に関する実証実験を行った。実験は、建築研究所内にある実大の戸建実験住宅(つくば市)を使用し、照明や家電、カーテンの開閉、在室状況(人体からの発熱および発湿)を5分単位で制御し、実際の生活を忠実に再現した条件下で実施した。通風条件においては、快適性に配慮して、室温に閾値を設け、29℃以上になるとエアコンが稼働するように設定した。 実験結果から日平均気温を変数としてエアコンの消費電力量の推定式を作成し、実験を実施したつくば市における標準年アメダス気象データを用いて、通風による冷房エネルギー(電力量)の削減効果を試算したところ、7月~9月で約3割の削減効果があることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、初年度に気流の計測方法に関する検討を実施し、今年度は通風による冷房エネルギー削減効果の検証実験を実施している。通風による省エネ効果の推定精度の向上に向けて、平成24年度も実証実験を継続するが、実験施設の整備は完了しており、速やかに実証実験を開始することが可能である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は次の3点について重点的に研究を進める。1点目は通風による冷房エネルギー削減効果に関する実証実験の継続。2点目は気流性状の現場測定法に関する検討であり、実大通風実験施設を活用して計測精度の検証を実施する予定である。3点目は通風時の室内気流のシミュレーションを行い、通風計画用の事例作成に活用する。
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