研究課題/領域番号 |
22686057
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研究機関 | ものつくり大学 |
研究代表者 |
林 英昭 ものつくり大学, 技能工芸学部, 講師 (70409671)
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研究期間 (年度) |
2010-10-20 – 2014-03-31
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キーワード | 建築歴史・意匠 / 東洋建築 / ベトナム |
研究概要 |
本研究課題はベトナム・フエ周域の伝統木造建築について往時の設計技術を検討するために,現存遺構の詳細実測調査に重点をおいて進めている.研究代表者による既往の研究成果である伝統技術保持者への設計技術の聞き取り結果を実際の遺構に基づいて検討することが主目的である.具体的には研究期間の4年間で「1.フエ周域の伝統家屋の詳細な実測調査(30棟)」,「2.ベトナム中部のディンの実測調査(6棟)」の2点,合計36棟の実測調査の達成を目標とする. 本年度は「1.フエ周域の伝統家屋の詳細な実測調査」について1棟を実施,「2.ベトナム中部のディンの実測調査」について8棟を実施した. 上記「1」に関しては,基礎的な柱間・断面寸法のほか,柱径,横架材断面,登り梁の断面形状,登り梁の勾配を詳細に実測することに努め,各遺構の所有者等に対する聞き取り調査を行い,概ね当初の計画通りの情報を確保し得た.これについては研究期間開始からの3年間通算で合計20棟の調査を終了し,既にある程度の基礎資料を収集し得たと判断したため,年度内は上記「1」については1棟のみとして計画を見直し,対象遺構の地域的な偏りを改善するために郊外地域の遺構について調査を計画しながら,上記「2」の調査実施を重視することとした.上記「2」については,伝統家屋に比して既往の研究が進んでいない分野であることから,基礎的な実測図の作成に注力し,基礎的な柱間寸法,断面寸法等を実測し,実測図を作成している.これについては,通算で合計10棟の調査を終え,既に目標の棟数を大きく超えているが,本研究課題の遂行に伴い,更に事例を増やしていくことで,宮殿建築との比較も含め,分析を進める. なお,本研究課題の実施に基づく成果は,平成25年度の日本建築学会大会の学術講演会(北海道・北海道大学)へ成果の一部を整理して投稿し発表決定済みである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の主部である2種類の実測調査について,一方はその結果から既に充分な基礎資料を獲得し得たと判断し,計画を再検討し補うべき地域の調査を調整中である.もう一方は既に目標を超える棟数の実測調査を終了しており,それぞれ図面描画も終了している.また得られた実測数値についての検討も並行して進めており,その成果の一部を学会発表原稿としてまとめ投稿している. おおむね計画通りに進展している.
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今後の研究の推進方策 |
現在までのところ,顕著な問題点は発生しておらず,順調に研究計画を進めている. ただし目標としている2種類の実測調査すなわち「家屋30棟」と「ディン6棟」という目標棟数については,再検討の結果,家屋の目標棟数を若干減らし,比較の観点で重要な大規模建築の目標棟数を増やし,「家屋28棟」と「ディンおよび寺院12棟」を目標棟数として再設定する.いずれにせよ合計で40棟,当初計画の目標36棟を超える棟数の実測調査の実施を目標とする.
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