Mg-Co-O、Mg-Ni-O複合酸化物を逆共沈法によって、均一組成の粒子状サンプルを作成することに成功し、これらを用いて、PVDFやカーボンブラックを混ぜることにより、正極合剤作成した。また、アセトニトリルに過塩素マグネシウム塩を溶解させた電解液と、マグネシウム金属を負極として用いることにより、マグネシウムイオン電池を構築し、種々の電気化学測定を行った。マグネシウムコバルト酸化物は、乱れスピネル構造を持つことが明らかとなり、また、その伝導性は、リチウムコバルタイトに匹敵するか上回るほど高いことが明らかとなった。 電池としては、2.6Vのバンドギャップをもつ青色発光ダイオードを光らせることに成功した。しかし、電流値は非常に小さいので、正極材としては、高電流を流せるようにする材料設計が必要である。また、マグネシウム金属がアセトニトリル系の電解液でPassivateされる傾向があるため、より適切な電解液を用いるか、負極をカーボンに変更して、正極材料評価をする必要がある。また、電気化学キャパシターの可能性も残っているため、電池として作動しているかどうかの両者の側からの検討が必要であった。しかし、リチウムイオン電解液を用いた、Cu極との充電実験から、これらの活物質から、マグネシウムが充電時に確実に引き出され、またCu極上に電析することも確認した。また、開回路起電圧は3.5V以上あり、これにより、マグネシウムイオン電池の正極材料としての高い可能性が示された。
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