研究課題/領域番号 |
22686071
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
徳山 英昭 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (10363029)
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キーワード | 反応・分離工学 / 化学工学 / 高分子合成 / 吸着 / ゲル / レアメタル / エマルション |
研究概要 |
本研究では、レアメタルリサイクルに貢献する低環境負荷型の金属分離プロセスの構築を目指して、新規な分離材の抽出剤内包エマルションゲルの開発と、分離プロセスの設計指針の確立を目的とする。このゲルは、ある金属イオンと選択的に錯体形成する油溶性錯化剤(抽出剤)の微小油滴を分散して内包した高分子ハイドロゲルであり、溶液中の金属イオンの吸着能を発現する。平成22年度に、リン酸系抽出剤を用いた抽出剤内包エマルションゲルを開発した。この種のゲルの作製は1例に留まっており、ゲルの設計指針の確立および実用化の観点から、種々の抽出剤を用いたゲルの開発が望まれる。また、分離プロセスでは粒子径が1mm程度のゲル粒子が所望される。そこで平成23年度は、ゲルの設計指針およびゲルの構造制御技術の確立を目的として硫黄系抽出剤を用いた抽出剤内包エマルションゲル粒子の開発に取り組んだ。具体的には、硫黄酸系抽出剤の微小油滴(μmオーダー)とポリオキシエチレン系モノマーを含む水相から成る0/Wエマルションをシリコンオイルに滴下して、その中を沈降する間に水相をラジカル重合でゲル化させる沈降重合法でエマルションゲル粒子を作製した。平成22年度に沈降重合法の基盤を構築したが、単にノズルから重力によって滴下するだけでは粒子径が2~3mm程度と大きかった。そこで、液滴を微粒化させる二流体滴下法を開発・検討した。具体的には、プレゲル溶液をノズルの先端から滴下する際に、液滴の周りに滴下方向に窒素ガスを流して流体抗力によって液滴を微粒化させる手法で、粒子径が1mm程度のゲル粒子の作製に成功した。回分吸着実験を行い、作製したゲル粒子がパラジウムイオンの吸着能があることを明らかとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究の目的は、(1)ゲルの構造制御技術の確立と(2)ゲル粒子の製造プロセスの開発だった。(2)については、当初の計画通り、二流体滴下法と沈降重合法を組み合わせた手法を開発して粒子径が1mm程度のゲル粒子の作製に成功した。(1)については、当初の計画を変更したが、新たに硫黄系抽出剤を用いた抽出剤内包エマルションゲルを開発した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24、25年度は、当初の計画通り、エマルションゲル粒子の作製(作製装置の開発・改良、粒子径の制御技術の構築など)とこれを用いた分離操作(分離装置の作製、物質移動モデルの構築、分離操作の設計など)について検討する。
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