研究課題/領域番号 |
22686071
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
徳山 英昭 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10363029)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 反応・分離工学 / 化学工学 / 高分子合成 / 吸着 / ゲル / レアメタル / エマルション |
研究概要 |
本研究では、レアメタルリサイクルに貢献する低環境負荷型の金属分離プロセスの構築を目指して、新規な分離材の抽出剤内包エマルションゲルの開発と、分離プロセスの設計指針の確立を目的とする。このゲルは、ある金属イオンと選択的に錯体形成する油溶性錯化剤(抽出剤)の微小油滴を分散して内包した高分子ハイドロゲルであり、溶液中の金属イオンの吸着能を発現する。平成24年度は、これまでに開発した2種類目の分離材である硫黄系抽出剤を含む抽出剤内包エマルションゲル(塊状ゲル)のパラジウムイオンの吸着特性を詳細に調査した(ゲル作製条件が吸着特性に及ぼす影響など)。また、これまでに提案・開発した、分離プロセスで所望される粒子径が1 mm程度のエマルションゲル粒子の作製手法である沈降重合法と二流体微粒化法を組み合わせた手法において、粒子径を高度に制御できるゲル粒子の作製技術を確立した。具体的には、プレゲル溶液をノズルの先端から滴下し、その周りに窒素ガスを流す二流体微粒化法において、二重管ノズルを作製・導入した。これによりガス流速に依存した粒子径を持つゲル粒子を安定的に製造できるようになった。このゲル粒子の製造に関する研究は、まず技術の基盤を構築するために、作製が簡便で我々が十分な実績を持っている均質構造の感温性ハイドロゲルを対象に行った。さらに、この感温性ハイドロゲルは温度変化を与えることで金イオンを吸・脱着できる特性があり、ゲル粒子を充填した固定層の作製および周辺の装置をセットアップして連続吸着操作を行った。ここでの知見は、エマルションゲルを用いた分離プロセスの設計指針の確立に繋がるものである。エマルションゲル粒子の作製と分離プロセスへの適用についても実績を積み重ねており、平成25年度も継続して検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究の目的は、①ゲル粒子の製造技術の確立と②ゲル粒子を用いた分離プロセスの構築だったが、それぞれ概ね当初の計画通り達成した。①②とも、まず作製が簡便で我々が十分な実績を持っているハイドロゲルを対象として検討を進め目的を達成した。エマルションゲルについても粒子の製造技術とゲル粒子を用いた分離プロセスの検討の実績があるが、平成25年度も継続して検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、当初の計画通り、エマルションゲル粒子の作製(オートメーション化による大量製造)とこれを用いた分離操作(分離装置の作製、物質移動モデルの構築、分離操作の設計など)について検討する。
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