超音波還元法で作製し二酸化チタン表面に担持した二元金属ナノ粒子の組成および構造が触媒活性、あるいは光触媒に担持した際の助触媒特性に及ぼす影響について研究を行っている。これまでのAu・Pd系に加え、今年度はPt・Pd、あるいはAu・Ptからなる二元金属を調製・担持した二酸化チタンを作製し、これらの光触媒特性を測定して、ナノ粒子の組成および構造が助触媒効果に及ぼす影響を比較評価した。 Pd・Pt系ではそれぞれの粒子内に両金属が一様に分布したランダム合金構造になった。一方、Au・Pt系では一部の粒子では合金化の兆候が見られるが、コア・シェルやPt・Pd系のランダムのような明瞭な構造ではなく、また単元のAuやPtナノ粒子も確認できた。 単元粒子担持二酸化チタンの混合物と比較すると、Pt・PdおよびAu・Ptの含白金系では、二元化に由来する助触媒効果がAu・Pd系よりもより顕著であった。Ptの添加は少量でも活性に対する寄与が大きい。例えばAu・Pt=75/25(モル比)では、二元系試料は混合物と比較し約2倍の高活性を示した。これは電気陰性度の高いAuと仕事関数の大きなPtをカップリングさせることで、二酸化チタンに対する光照射で生じた光励起電子が貴金属に捕捉され、正孔との再結合がより効率的に抑制できるためと結論した。その一方で、超音波還元法は粒子を作製して所望の担体に固定化することは可能であるが、構造とサイズを同時に制御することは必ずしも叶わなかった。本課題を解決すべく別の試料調製法として、液相プラズマ法や電子線還元法も扱った。
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