研究概要 |
有機合成,自動車排ガス浄化において有効な銀ナノクラスター触媒の開発と触媒設計指針の構築を目的として,以下の個別課題(1)(2)を設定した. (1)白金族錯体代替固体触媒の設計を指向した,One-pot有機合成反応 (2)高耐熱性自動車排ガス処理触媒を目指した低温燃焼反応 平成22年度は、(1)、(2)に関して以下の成果を得た (1)芳香族ニトロ化合物のニトロ基選択的水素化:アルミナにAgの金属微粒子を担持した触媒が芳香族ニトロ化合物のニトロ基選択的水素化を効率的に進行させることを見出した.粒径・担体の異なる触媒を用いた構造活性相関の検討から,配位不飽和サイトや担体酸塩基性が活性に与える影響を検討した.In-situ IRによる中間体の同定とその速度論解析より反応機構を明らかにした.アルミナ担持Ag微粒子触媒の高い活性は,本反応の重要なステップである水素分子の解離がAg微粒子上の配位不飽和サイトと固体酸・塩基点の共同作用により効率的に進行するためであると結論した. (2)カーボン燃焼:ディーゼルエンジンはさらなる低燃費化が求められていることから,排出ガスに含まれる粒子状物質(カーボンが主成分)を排出ガス温度で連続除去することが望まれている.当研究グループはAgナノ粒子担持CeO_2触媒が白金族触媒を上回るカーボン燃焼活性をもつことを見出した.さらに、Ag粉とCeO_2などのn型半導体酸化物を物理混合した触媒が,空気中での焼成処理によりAgが微粒子化し,高いカーボン燃焼活性を示した。高熱耐性(800℃)と燃焼活性を併せもつ触媒の設計指針を提案した.
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