研究概要 |
1.Ag触媒の基礎研究: 触媒構造・触媒活性の相関関係に関する仮説を立て、銀クラスター触媒の設計指針を構築した。 2.CuドープAg触媒の開発: 原子効率の高いアルキルアミン合成法としてアルコールを用いたアミンのN-アルキル化が注目されている,本反応に対してCu触媒が高い性能を示すことが知られているが,高温やH2加圧の必要性や,基質適用範囲に改善の余地がある.我々はAg/Al203が本反応に有効であることを報告したが,助触媒(塩化鉄)を溶液に添加する必要がある等の問題がある4).本研究ではCu/Agバイメタル触媒が用いてアルコールとアミンによるN-アルキル化反応が進行することを見出した.担持量,担体,焼成・活性化処理を系統的に変化させた触媒を用いた検討から,Ag触媒の活性を1桁上回る触媒を開発した. 3.排ガス浄化用自己分散型Agナノクラスター触媒の開発: 従来型の自動車排ガス浄化触媒は高温での雰囲気(redox)変動条件下で粒子成長し,活性が低下する.最近,PdやPtがペロブスカイトやセリウム酸化物上にイオン種として分散・安定化する現象を利用して粒子成長を抑制した新規触媒が開発.実用化されたが,資源量・価格を考慮すると非白金族系金属や安価な担体材料を用いた代替触媒の開発が望まれる.d10金属(Au,Ag)が微粒子化により高いCO酸化能を発現することが知られているが,PtやPdに比べて融点が低いため,高温でのシンタリングによる触媒劣化が問題である.発表者は銀粉とγ-Al203の混合物から調製した触媒が高い耐熱・耐redox安定性を示し,CO酸化に高い活性を示すことを見出した.基礎的な検討結果と併せて触媒設計指針を提案した.
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