研究課題
本研究では、「生細胞内の遺伝子シグナルを釣り針として望みの細胞を単離する」前例のない新しい技術を開発する。これまでの細胞単離法は細胞表現型(例えばタンパク質マーカー)を識別することで分離する技術がほとんどである。一方、近年、DNAチップなどの網羅的遺伝子解析技術の発展により細胞種を見分けるための遺伝子マーカーの探索が容易となった。そこで、申請者は自身がこれまでに開発してきた「生細胞内RNA検出プローブ」を適用することで遺伝子型に基づいた細胞単離技術を確立する。本年度は、細胞内RNA検出を検討した。細胞分離を可能にするためには、ほとんどすべての細胞にダメージ少なくRETFプローブを導入する必要がある。そこで、まず、最適な細胞内プローブ導入法を検討した。市販のリボソームを用いた導入をおこなったが、バックグラウンド蛍光が高くなるため、不向きであった。つづいて、エレクトロポレーションを用いたが、プローブがその条件で分解することがわかった。そこで、ストレプトラインシンO(SLO)を用いて細胞膜に穴を開けてプローブを導入したところ、ほとんどの細胞にプローブを導入できることがわかった。また、細胞の生存率は10%程度と完全ではないが、細胞分離の実験に用いることができるレベルであった。つづいて、未分化細胞で高発現しているmiRNAを標的にRETFプローブを作成し、フローサイトメーターで検出実験をおこなったところ、優位なシグナルを観測できた。そこで、現在、標的シグナルを指標にした細胞分離を検討している。
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Angewandte Chemie International Edition
巻: 50(50) ページ: 12020-12023