研究概要 |
本研究の目的は"原子の絶対数密度"を"その場(In-situ)測定"できる新しい計測システムを開発することである.そのためにはまず,測定ガスを用いた小型プラズマ源により基底原子の共鳴ラインを用いた真空紫外ビームを生成し,対象原子を吸収飽和させる.次にこの飽和した励起準位に対して可視域の半導体レーザーを用いたレーザー吸収分光法を適用し,吸収飽和理論を用いてビーム交差点での基底準位数密度を決定する。 本年度は昨年度に続き,ICPを用いてキセノン原子のプローブ光(XeI147nm)を生成し,常温ガスにおける吸収率と数密度(圧力から算出)からプローブ光の形状評価を行なった.その結果,ICP放電室内部での吸収によりプローブ光の形状が大きく変化することがわかった.そこで二重管を用いて内側に放電用アルゴンガス,外側からキセノンガスを供給し,流量比によりプローブ光形状を変化させ,ターゲットとなる測定領域(数密度)を任意に変化させることができることを立証した。 また二段吸収の予備実験として中空ファイバを用いて真空紫外光を1mmまで集光させ吸収飽和の影響を検証した.
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今後の研究の推進方策 |
二段吸収の実証試験を行う.当初はMgF_2レンズによりプローブ光を集光させる予定であったが,ICPからの光を直接集光させることが困難であることがわかったため,テーパー型の中空ファイバを用いてビーム径1mm以下のプローブ光を生成する.同時並行してECRプラズマを用いた酸素原子への応用も行い,アクチノメトリー法を用いて測定結果の妥当性を評価する.
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