研究概要 |
本年度の目的は,基本的な光学系の構築,2次元分布測定用ステージ系の構築,および,測定に最適なレーザ波長を選定するための基礎実験,を行うことであった.特に,プラズマ診断のための高感度測定法である周波数変調レーザ吸収分光法の構築は,次年度以降のプラズマ診断の要となる測定であり,同法の可否が大きな焦点であった. 基本的な光学系の構築は計画通りに実施され,直接レーザ吸収分光法測定系の構築を達成した.特に,シングルモードファイバを使用したレーザ掃引系を構築することによって,小型プラズマ源に必要な50μmオーダの高分解能レーザーパスを有する直接レーザ吸収分光系の構築を達成した.さらに,2次元分布測定用の自動ステージの構築を行い,同分光装置を用いて可視化小型プラズマ源中の中性粒子密度分布測定の環境を整えた. 周波数変調吸収分光法には,最適なレーザとして分布帰還型レーザ選定していたが,製造メーカ(独ナノプラス)で生じた製造不具合および納期遅延のため,計画を変更しファブリペロー型レーザを使用する方向へ切り替えた.直接吸収分光法の装置にマイクロ波部品を組み入れ,周波数変調分光法特有の吸収信号を得ることに成功し,高感度プラズマ密度分布測定の適用に目途がついた. また,次年度以降に予定していた両極性作動型イオンエンジンの中和性能の測定実験を前倒して実施した.この結果,様々な幾何的配置において,両極性作動型イオンエンジンは良好な性能を保つ事が実証された.特に,2つの両極性イオンエンジンの距離を変更した場合において,中和性能が低下しないことを実証できた.
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