研究課題/領域番号 |
22686082
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堤 成一郎 大阪大学, 接合科学研究所, 准教授 (70344702)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 疲労 / 結晶塑性 / 有限要素法 / 硬・軟化 / 材料組織 |
研究概要 |
従来法に則って、一定荷重振幅下で得られる疲労設計曲線(S-N曲線)を用いて疲労強度設計をする場合、個々の機械・構造物が受ける荷重履歴の影響を評価できない、また疲労事例の多くは、降伏応力(もしくは弾性限)よりも小さく、低回数の繰返し応力下で得られた応力-ひずみ関係からは、塑性変形が確認されない、いわゆる“巨視的弾性”の繰返し応力に伴う疲労き裂の発生と、その後の伝播挙動に支配されているにもかかわらず、そのプロセスが全く考慮されていない、という二つの大きな問題が挙げられる。 一方、疲労設計の高度化を目指した研究は、これまで国内外で盛んに行われてきた。しかし、初期き裂(もしくは切欠き)の存在を前提として、き裂の進展だけを対象とする、破壊力学的手法を用いた研究が主流であり、巨視的弾性応力下の疲労き裂発生を解明し得る理論的研究は極めて限定的である。つまり、疲労設計の高度化には、巨視的弾性の繰返し応力による疲労き裂の発生メカニズムを解明し、荷重履歴の影響も含めて、“疲労き裂の発生から、伝播までの寿命を定量的に評価可能なシステムの確立”が極めて重要である。 そこで本年度は、繰返し応力に伴う塑性ひずみの高精度予測に不可欠な、繰返し弾塑性モデルの開発およびその応答特性の詳細な把握を行なった。また、モデルにより予測される累積の塑性仕事量とき裂発生に至るまでの繰返し回数との相関が高いことを明らかにした。さらに,多段変動応力下におけるき裂発生寿命評価への適応も行い、その応答特性の詳細を明らかにした。また、結晶塑性FEシミュレーションを用いた繰返し応答解析を行い、軟化挙動に対する結晶組織の影響に関する感度解析を実施した結果、その影響因子に関する各種情報が得られ、材料組織の重要性が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、繰返し応力に伴う塑性ひずみの高精度予測を目指した繰返し弾塑性モデルの開発およびその応答特性の詳細な把握を行なった。また、モデルにより予測される累積の塑性仕事量とき裂発生に至るまでの繰返し回数との相関が高いことを明らかにした。さらに,多段変動応力下におけるき裂発生寿命評価への適応も行い、その応答特性の詳細を明らかにした。また、結晶塑性FEシミュレーションを用いた繰返し応答解析を行い、軟化挙動に対する結晶組織の影響に関する感度解析を実施した結果、その影響因子に関する各種情報が得られ、材料組織の重要性が明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、結晶塑性FEシミュレーションにより得られた情報と実験結果との照査により、き裂発生に対するミクロ因子を明らかにし、き裂発生規準の定式化へと発展させる。その際、感度解析結果を参照することにより、材料組織との関係を明らかにする。
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