研究課題
我々は、鳥類(ニワトリ)及び哺乳類(ラットとマウス)の視床下部において新規摂食関連遺伝子を最近見出している。本新規遺伝子から翻訳されるタンパク質には分泌性ペプチドがコードされていると考えられ、新規神経ペプチドの前駆体遺伝子である可能性が高い。本研究では新規遺伝子がコードしている神経ペプチドを同定し、本ペプチドの生理機能を解明することを目的としている。さらに、脊椎動物における新規遺伝子の普遍性と多様性を解析する。本年度は昨年度の成果をさらに発展させるべく以下の研究を行った。①ペプチド同定:昨年度はCHO細胞に前駆体遺伝子をトランスフェクションし、成熟神経ペプチドが培養液中に分泌されていることを示したが、本年度はさらに、脳下垂体由来細胞株であるAtT20細胞を用いても同様に分泌されていることを確認した。さらに、視床下部抽出物からもウエスタンブロットを用いて特異的なバンドを検出することが出来た。この研究により、予想した長さのペプチドが脳内でも分泌されていることが示唆された。②形態解析:ラットとニワトリの脳を用い、新規神経ペプチドが視床下部領域に特異的に発現していることを明らかにした。③生理機能解析:抗体を用いた中和実験を行い、行動解析を行った。その結果、摂食量を抑制する効果が見られた。このことから、内因性の神経ペプチドは摂食促進効果を有することが示唆された。④分子系統学的解析:ゲノムDNAデータベース解析から、脊椎動物における新規遺伝子の存在をバイオインフォマティクス的手法により解析した。さらに、シンテニー解析を行い、新規神経ペプチドの分子進化を詳細に考察した。その結果、円口類のヤツメウナギでは既に新規神経ペプチドの前駆体遺伝子が存在すること、その後の脊椎動物の進化において遺伝子重複によりパラログ遺伝子が派生してきたことなどが明らかになった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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