下等脊椎動物は、松果体を使ってUV光と可視光の比率という“色”情報を得ていることが知られている。本研究では、申請者が見出した松果体色弁別の光受容分子パラピノプシンを起点として、松果体色弁別機構の解明および長年の謎であった生理的役割の解明、さらには下等脊椎動物の多様な松果体関連器官の機能的・進化的関係の解明を目指す。具体的には、パラピノプシンを発現する細胞をターゲッティングしたトランスジェニック(Tg)ゼブラフィッシュを作製し、色弁別のための神経ネットワークの解明、色情報の脳内投射先の解明、パラピノプシン発現細胞を失活させたTgゼブラフィッシュの電気生理学的・行動学的解析を行う。平成25年度は以下の成果を得た。 ・パラピノプシン発現細胞をGFP標識したトランスジェニックゼブラフィッシュを用いた電気生理実験によって、パラピノプシン発現細胞の細胞内記録に成功した。 ・松果体の神経節細胞を標識した標識したトランスジェニックフィッシュを作製した。 ・パラピノプシン発現細胞からの脳内投射について、トレーサーやマーカー分子を用いた解析によって詳細な領域を同定した。また、その投射領域から、松果体の色弁別がどのような行動に関与するかが示唆された。 ・円口類ヤツメウナギの松果体において、不明であった松果体色弁別の可視光受容タンパク質を生化学的・電気生理学的・免疫組織学的手法を用いて同定した。 ・両生類の松果体および関連器官である前頭器官で発現している遺伝子についての網羅的解析を行った。
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