• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2010 年度 実績報告書

時を生み出すタンパク質KaiCにおけるATPase自己抑制・温度補償機構

研究課題

研究課題/領域番号 22687010
研究機関名古屋大学

研究代表者

秋山 修志  名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (50391842)

キーワード生物時計 / 溶液散乱 / 分光計測 / 温度補償性 / シアノバクテリア / 時計タンパク質
研究概要

平成22年度はKaiCについて結晶化条件の最適化を行い,ATPase活性に関わるアミノ酸側鎖や水分子を含めた高分解能構造の解明に尽力した.その結果、エネルギーの蓄積を想像させるいくつかの構造歪みを見出した.これらアミノ酸の変異体についてATPase活性や時計機能への影響を検証し,標的としている構造歪みが本質的なものであるかどうかを早急に見極めたい.
構造歪みを溶液中で検出する方法として,X線小角散乱,赤外,蛍光の3つを導入した.X線小角散乱実験と並行して「多連セル」の開発を進め,より短い時間分解能で効率良く計測できるように準備を進めている.また,赤外についてはMCT検出器を導入し,微小な吸高度変化を捉えるための高感度計測システムの構築を進めている.蛍光については機器調整がほぼ完了しており,取得した高感度計測データを論文として発表することができた.
工夫を重ねた結果,KaiC 6量体の再構成過程を安定かつ高感度で計測することができるようになった.我々の作業仮説にほぼ合致する「リラックスしたKaiC」が過渡的に蓄積する証拠が得られつつある.これらの成果は,過渡的中間体におけるATPase活性と構造歪みの相関を検証するための基盤技術となるもので,大変意義深いと考えられる。
今年度に導入を予定していた温度ジャンプ装置であるが,プロトタイプ機の性能が不十分であったことに加え,業者の経営上の問題も重なり,実機の製作が半年ほど遅れていた.このような理由から平成22年度の研究費を平成23年度へ一部繰り越し,製作と機器調整を入念に行った.温度ジャンプが設計通りの時間分解能で達成されているかどうかを検証するため,温度指示薬を内部標準として繰り返し動作試験を行った.その結果,数十ミリ秒のうちに±約0.1度の精度で10→30℃への温度ジャンプが達成されており,試料を用いた実験に一定の目途がついた.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Tracking and visualizing the circadian ticking of the cyanobacterial clock protein KaiC in solution2011

    • 著者名/発表者名
      Murayama, et al
    • 雑誌名

      The EMBO Journal

      巻: 30 ページ: 68-78

    • 査読あり
  • [学会発表] ATPase- and phospho-dependent structural changes of circadian clock protein KaiC2010

    • 著者名/発表者名
      Shuji Akiyama
    • 学会等名
      Pacifichem 2010
    • 発表場所
      Honolulu, USA
    • 年月日
      2010-12-17

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi