研究課題/領域番号 |
22687011
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今村 博臣 京都大学, 次世代研究者育成センター, 准教授 (20422545)
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キーワード | ATP放出 / 細胞死 / ライブイメージング / 共鳴エネルギー異動 / バイオセンサー |
研究概要 |
まず、アポトーシス時においてATPが細胞外に放出される様子を細胞外に提示したATPバイオセンサーを用いてイメージングすることを試みたが、検出することができなかった。おそらく実際に放出されるATP濃度に対してバイオセンサーの感度が低かった、あういは放出されたATPの拡散スピードにバイオセンサーがついていけなかったものと考えられる。今後はより感度良く、かつ応答速度の早いバイオセンサーの開発が望まれる。 そこで、発想を変え細胞外へのATPの放出を抑えた際の細胞内部のATP濃度のダイナミクスを計測した。薬剤に寄って細胞外へのATPの放出を抑えた結果、アポトーシス細胞において細胞質ATP濃度の減少が著しく抑制されることが見出された。これによって、アポトーシスの際に細胞内のATP濃度が減少する主原因は、細胞外へのATPの放出であることが明らかとなった。アポトーシスにおけるATP減少に関わる遺伝子が絞り込めたことで、アポトーシスにおけるATP減少の意義を調べる事が可能になると考えられる。 次に、アポトソーム形成の可視化を目指し、Apaf・1にCFPおよびYFPを融合したFRETセンサーを構築した。これまでの構造的な研究からアポトソーム形成時にFRET効率の変化が検出できると予想されたが、実際にはFRET効率の変化は全く観察できなかった。Apaf-1の立体構造変化は予想されているよりも小さい可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
アポトーシス時における細胞内ATPの減少に関わる因子の同定は、当初想定していなかった成果である。これによって、より直接「ATPの意義」を問うことが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
まず、ターゲット遺伝子の抑制や過剰発現によって、アポトーシスにおけるATP減少速度が異なる細胞を作製する。これらの細胞のアポトーシス過程を詳細に解析することで、ATPがアポトーシスにおいて減少する意義を明らかにする。
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