研究課題/領域番号 |
22687014
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
泊 幸秀 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 准教授 (90447368)
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キーワード | 核酸 / 蛋白質 / 発現制御 / 生体分子 / 遺伝子 |
研究概要 |
昨年度までの研究から、探索していた「RISC積み込み因子」が、Hsc70/Hsp90を核とするシャペロンマシナリーであるということが明らかとなった。Hsc70/Hsp90シャペロンマシナリーは、ATPを消費することで、Argonauteタンパク質の構造をダイナミックに広げることにより、Argonaute内部に、小分子RNAを取り込むための空間を確保させているものと推測される。よって、リコンビナントタンパク質としてショウジョウバエHsc70-4とHsp90を発現・精製し、すでに調製済みであったDicer-2/R2D2ヘテロダイマーと共に、免疫沈降精製したArgonaute2に加えることで、RISCが形成されるかどうかを調べたところ、これらのタンパク質だけでは、小分子RNA二本鎖のArgonaute2への取り込みは起きないことが明らかとなり、不足している因子が存在することが示唆された。そこで、以前Argonaute2に結合するタンパク質を網羅的に探索した際に同定された、Hop(Hsp70/Hsp90 organizing protein)およびDnaJ2(Jドメインタンパク質の一種)という二つのHsc70/Hsp90のコシャペロンについても、リコンビナントタンパク質を調製し、反応系に加えたところ、わずかながらRISC形成活性が確認された。しかしその活性は、ショウジョウバエ胚あるいはS2細胞の粗抽出液のものに比べてかなり低く、さらに不足する因子が存在することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であった「RISC積み込み因子」の核となる部分については、すでに同定が完了しているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、過去に報告されているHsp70/Hsp90シャペロンマシナリーが関わる経路(例えばホルモンレセプターなど)についての知見を参考にしながら、網羅的アプローチと候補遺伝子アプローチを組み合わせることにより、「RISC積み込み因子」の全容を明らかにした上で、RISC形成過程の完全な再構成を目指す。
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