研究概要 |
昨年度までの研究から、探索していた「RISC積み込み因子」が、Hsc70/Hsp90を核とするシャペロンマシナリーであるということが明らかとなった。しかし、Hsc70-4, Hsp90, Hop (Hsp70/Hsp90 organizing protein)およびDnaJ2 (Jドメインタンパク質の一種)の4種のリコンビナントタンパク質では、RISC形成活性は十分でなく、さらに不足する因子の存在が示唆されていた。そこで、RISC形成と同様にHsc70/Hsp90シャペロンマシナリーを必要とするステロイドホルモン受容体の成熟化の例を参考に、p23と呼ばれるHsp90のコシャペロンをリコンビナントタンパク質として作成し、上記のリコンビナントタンパク質に加えてRISC形成能を調べたところ、細胞粗抽出液と同等の活性を呈するということが明らかとなった。すなわち、ショウジョウバエAgo2のRISC形成は、Ago2, Dicer-2, R2D2という既知因子に加え、Hsc70-4, Hsp90, Hop, DnaJ2およびp23というシャペロン・コシャペロンを含む、合計7つの因子によって、試験管内で再構成されるということが分かった。これにより、本研究の大きな目的である「RISC積み込み因子」の同定は達成されたと考えられる。今後は、これら複数の因子のそれぞれが、RISC形成過程において果たす具体的な役割を詳細に解析する必要があると考えられる。
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