1. セロトニンシグナル阻害胚の細胞移動の解析 細胞移動のライブ観察を、PCPA処理胚、Prozac処理胚、tphd2MOイン ジェクション胚において行い発生過程のどの段階でCEに異常が認められるのかを解析した。結果として、セロトニンの合成を阻害すると、原腸胚後期から神経胚期にかけて腹側の細胞の背側への移動に異常が認められた。次いで、Rhoの標的であると考えられる微小管、アクチン のネットワークを抗体染色法やファロイジン染色法を用いて解析を行った。ライブイメージとの相関を取るのが困難であり、更に解析方法の検討が必要であることが示唆された。 2. Rhoファミリータンパク質のセロトニン化の検出 昨年度までの研究から、RhoAのセロトニン化に必要なTransglutaminase(Tgm2b)が原腸胚期に発現することが明らかとな った。そこで、今年度はTgm2bに対する特異抗体を作成し、発生過程におけるTgm2bの発現様式を解析した。原腸胚期にTgm2bタンパク質の発現は確認できたものの、組織特異性は観察されなかった。また、Rhoab遺伝子を改変し、セロトニン化を受けないと考えられる変異Rhoab(Rhoab*)を作成した。マイクロインジェクションによりRhoab阻害胚へのレスキュー活性の比較を試み、Rhoab*ではレスキューの活性が低下することが明らかとなった。このことから、Rhoabがセロトニン化される必要が有ることが示唆された。
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