研究課題
我々は、抑制型の転写因子Hes1が3-5時間の周期でES細胞内で発現振動(オシレーション)していること、さらに、この振動が下流遺伝子の発現を変動させて、ES細胞の分化のタイミングや運命決定に寄与していることを見いだしていた。Hes1発現のダイナミックな変化により、様々な分化ポテンシャルをもつES細胞が共存して、不均一な分化様式を維持していると考えられた。しかし、幹細胞におけるHes1のオシレーションを支える分子機構はほとんど明らかになっていない。我々は、転写因子Hes1により制御される遺伝子群をchip-chip法により、また、Hes1タンパク質と直接相互作用する新規タンパク質因子をHes1抗体を用いた免疫沈降法とマススペクトル解析により、網羅的に同定してきた。同定された遺伝子群の解析を行い、それらの中からHes1タンパク質の翻訳後修飾に関わる遺伝子を複数同定した。これらの候補遺伝子の中から、Hes1タンパク質からユビキチンを外す活性をもつ脱ユビキチン化酵素を1つ同定し、平成25年度は、その機能解析を行った。その結果、この脱ユビキチン化酵素に類似したホモログもHes1の脱ユビキチン化活性を持つこと、これらの脱ユビキチン化酵素の過剰発現やノックダウン法を用いた解析により、脱ユビキチン化酵素によるHes1タンパク質の安定化とHes1転写因子活性の制御が観察された。現在、マウス神経幹細胞における機能解析を行っており、終了次第、成果発表を行う予定である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Current Topics in Developmental Biology
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Stem Cells and Development