研究課題/領域番号 |
22687020
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
宮城島 進也 国立遺伝学研究所, 新分野創造センター, 特任准教授 (00443036)
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キーワード | 葉緑体 / 細胞内共生 / 進化 / 細胞周期 / 分裂 |
研究概要 |
葉緑体は、今から十億年以上前にシアノバクテリアが真核細胞内に共生して誕生した。共生関係を恒常的に維持するためには、現存の藻類に見られるように、共生体の分裂増殖を宿主細胞分裂周期に同調させる必要があった。我々は、これまでに、葉緑体分裂が宿主核コードのタンパク質群によって形成される分裂装置によって引き起こされることを明らかにしてきた。本研究の目的は、(1)宿主細胞分裂周期による葉緑体分裂の制御機構、(2)葉緑体の光合成活性が宿主細胞周期進行に与える影響を解析し、宿主・共生体分裂同調が、共生体と宿主双方の関与によって如何にして成り立っているのかを解明することである。 本年度は、灰色藻、紅藻、緑藻、車軸藻を用いた比較解析を行い、葉緑体分裂装置の構成因子をコードする遺伝子群はS期に特異的に発現すること、このS期特異的な発現機構は、葉緑体から核ゲノムへの遺伝子転移の後に獲得されたことが明らかとなった。 次に単細胞紅藻シアニディオシゾンを用いた解析の結果、宿主細胞の細胞周期進行が、光合成の蓄積量に依存するだけでなく、概日リズムによっても制御されていることが明らかとなった。光合成の蓄積量とG1/S移行を結びつける因子の候補を同定した。さらに、G1/S因子の一部が概日リズムによりリン酸化されることが判明した。これら2種類の因子により宿主細胞周期と光合成活性が協調的に制御されている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
宿主細胞分裂周期による葉緑体分裂の制御が、葉緑体分裂装置を構成する遺伝子群の細胞周期特異的発現によることを解明し、その進化過程についても情報を得た。さらに、宿主細胞の細胞周期進行と葉緑体による光合成活性が、生物時計によって協調制御を受けていることを示唆する結果を得ており、研究目的の達成に向け、研究は順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
宿主細胞周期と光合成、概日リズムの関係を解析する。特に、今年度の研究により特定した光合成の蓄積量とG1/S移行を結びつける因子(蓄積型因子)の候補、及び、概日リズムによりリン酸化される因子(時計型因子)に着目した研究を行う。具体的には、単細胞紅藻シアニディオシゾンの同調培養系と、遺伝子導入系を用い、蓄積型因子の量を人工的に改変する実験及び、時計型因子のリン酸化の役割を解明するための実験を行う。
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