顔面形態をはじめとするヒトの量的可視形質には、個体差や集団差が存在している。ヒトの量的可視形質の研究については、その遺伝性が認識されているにもかかわらず、未だ遺伝因子が不明な者が多い。その要因として、軟部組織形態の解析方法が確立していない点、正常形質が遺伝子関連解析の研究対象として扱われることが少ない点が挙げられる。そこで本研究では、非接触三次元スキャナを導入した現代日本人の顔面形態解析を行い、DNAマイクロアレイを用いたゲノムワイドSNP関連解析を行うことで、関連する遺伝子多型を同定することを目的とする。当該年度において、以下のような成果を得た。 1.顔面形態データおよび試料の収集 インフォームドコンセントのもと、20代~30代の成人を対象に三次元スキャナによる顔面の撮影、試料採取(DNA抽出用の末梢血あるいは唾液)、簡単な生体計測(身長、体重、指極、臍高、肩峰幅、臀幅、頭長、頭幅など)を行った。沖縄出身あるいは本土出身の男女合わせて約600人のデータ及び資料を得た。 2.顔面形態データの解析 沖縄出身あるいは本土出身の男性30人ずつ比較し、顔面形態の違いを調べた。また、情報工学分野の方法論を取り入れながら、人類学的な視点や目的に沿った三次元顔面画像データの新たな解析方法の確立を目指している。 3.ゲノムワイドSNPタイピング 末梢血あるいは唾液からDNAを抽出し、DNAマイクロアレイを用いたゲノムワイドSNPタイピングを行っている。当該年度において、およそ300人分のSNP解析を終了した。
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