研究課題
本研究課題では①ストレプトスリシン(ST)生合成遺伝子群の機能解析、②β-リジンポリマー(BP)を合成する新奇ペプチド合成酵素(Bls)の同定、③BP転移酵素(Blt)の同定とその応用利用、これら3点を本研究の主目的としており、①と②の主目的は計画通り達成できた。そこで、H24年度の研究では、③の主目的達成のために次ぎの2つの実験計画を行った。実験計画2-(1) 長鎖BP合成を可能にする高機能型Blsの構築Blsとして3つの酵素(ORF5、ORF19、ORF18)を同定しており、野生型ORF18を用いた酵素反応では1~4残基のβ-リジンが付加したSTしか生産されない。しかし、変異型ORF 18 (Q288A)では2~6残基のβ-リジンが付加したSTが生産されることを見出した(H23年度の研究成果)。そこでH24年度では、さらに5つの変異型酵素(Q288H、Q288R、Q288V、M293G、Q288A/M293G)を構築しその機能を解析したところ、Q288A/M293GはSTの生産性を完全に消失したが、それ以外の変異型酵素はいずれもQ288Aと同様に2~6残基のβ-リジンが付加したSTを生産した。実験計画2-(2) Bltの基質特性改変と種々化合物のBP化Blsの酵素反応では、ST以外にもBPだけの構造をもったポリマー化合物が生産される。これは、ORF18にチオエステル結合したBPが非酵素的に加水分解されて生産せれることがQ288A/M293Gを用いた実験結果で証明できた。そこで、酵素反応液にグリセロールを加えたところ、グリセロールにBPが結合した新規化合物の創製に成功し、またBP化されたトリス誘導体の合成にも成功した。さらに、ORF19の基質特異性を利用し、2’-amino guanosine、カナマイシン、アミカシンなど抗生物質のβ-リジン化にも成功した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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バイオサイエンスとインダストリー
巻: 71 ページ: 32-35
Nature Chem. Biol
巻: 8 ページ: 791-797
DOI:10.1038/nchembio.1040
http://www.s.fpu.ac.jp/hamano/