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2012 年度 実績報告書

寄生細菌“ボルバキア”を利用したマツノマダラカミキリの生殖機能撹乱技術の確立

研究課題

研究課題/領域番号 22688012
研究機関独立行政法人森林総合研究所

研究代表者

相川 拓也  独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, 主任研究員 (90343805)

研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2014-03-31
キーワードマツノマダラカミキリ / ボルバキア / マイクロインジェクション / 生殖異常 / マツ材線虫病
研究概要

本年度は、マイクロインジェクターを用いてアズキゾウムシのボルバキアをマツノマダラカミキリの卵に注入する方法で、マツノマダラカミキリへのボルバキアの導入を試みた。まず、交尾済みのマツノマダラカミキリの雌に産卵用のマツの丸太を与え一晩産卵させた。翌日、卵を丸太から取り出しシャーレに並べ、アズキゾウムシから採取したボルバキアの溶液を0.5μlずつマイクロインジェクターを使ってそれらの卵に注入した。その後、孵化した幼虫は人工飼料上で成虫になるまで飼育させた。発育の途中で死亡した個体については適宜人工飼料から取り出し、PCR法を用いてボルバキアの感染の有無を調べた。得られた成虫は解剖し卵巣あるいは精巣を摘出して、それらの組織におけるボルバキアの感染の有無を調べた。ボルバキアを注入した卵367個うち51%が孵化に成功した。発育の途中で死亡した若齢幼虫23頭についてボルバキアの感染率を調べた結果、22頭がボルバキアに感染していた。また、終齢幼虫まで発育したが蛹化あるいは羽化できなかった19頭の個体についても同様に感染率を調べたところ、すべての個体からボルバキアが検出された。一方、成虫まで発育できた12個体のうちボルバキアに感染していた個体は1頭(雌)だけであり、その雌個体が産んだ卵から孵化した幼虫は全くボルバキアに感染していなかった。このように、マツノマダラカミキリの卵にアズキゾウムシのボルバキアを接種した場合、ボルバキアに感染した個体のほとんどは発育の途中で死亡あるいは発育が止まってしまい、成虫まで発育できないことが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マツノマダラカミキリにアズキゾウムシのボルバキアを導入する方法を検討した結果、マツノマダラカミキリの卵へボルバキアを注入した場合は、ボルバキアに感染した成虫がほとんど得られないが、マツノマダラカミキリの蛹に注入した場合は、ボルバキアに感染した成虫を多く得られることがわかった。よって、おおむね予定通り進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

これまでの研究により、マツノマダラカミキリの蛹にボルバキアを注入することで、ボルバキアに感染した成虫が得られることがわかったので、今後、その方法を用いてボルバキアに感染したマツノマダラカミキリ成虫を作成し交配実験に供試する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] マツノマダラカミキリに残る共生細菌感染の痕跡2012

    • 著者名/発表者名
      相川拓也
    • 雑誌名

      日本森林学会誌

      巻: 94 ページ: 292-298

    • 査読あり

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公開日: 2014-07-24  

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