研究概要 |
従来は均一な面として取り扱われることの多い農地であるが,実際の農地は,圃場や畦畔,作業道,用水路,排水路が混在している.圃場にしてもマルチされた露地栽培圃場,水稲栽培圃場,ビニールハウスなど農業生産活動によって土地の利用形態も大きくことなる.実は土地利用が混在している農地のフラックスを,様々に観測して,地目混在地としての農地のフラックス環境を評価することが本研究の目的である. 研究2年目である平成23年度は,3月中旬から作付けがはじまる宮崎県の早期水稲栽培ほ場を対象に,その生育ステージに併せて,シンチレーション法によりほ場のフラックス観測を行った.また,光路上に水田ほ場の他に,道路や水路などが含まれるようにシンチレーションを設置して,フラックス観測に与える影響について検討した. 早期水稲の生育ステージによって顕熱フラックスは若干の差異が見られたものの、純放射に対する割合で見るとほぼ一定であった。水田上の顕熱フラックス観測値が、アスファルト道路から距離によって変化するかを見た所、極近いとき(2m程度)の時には違いが現れるが、5m程度離れるとほぼ影響は見られなかった。また、100mの光路に対して、5m程度の道路が含まれていても顕熱フラックスへの影響は極僅かであった。以上のことから、水田上の顕熱フラックスに与える周辺道路等の影響は極僅かであることが分かった。水田の持つ気候緩和機能について考えていくときには、反対に道路上の顕熱フラックスに与える周辺農地の影響が同等であるのかを詳しく検討していく必要がある。
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