研究課題
動物の恒常性維持機構の解明は、主として陸上環境を念頭に研究がこれまで為されてきた。しかし、地球上には生活の大部分を空中や水中で過ごす哺乳類、鳥類が数多く生息している。これらの動物が、どのように非陸上空間で体内の恒常性を維持しているか調べるのは、これまで困難であった。本研究では装着可能な小型計測機器を用いることで、自然界で動物が自発的に飛翔・潜水を行う際の生理状態を調べる。従来とは異なる空間軸における恒常性維持機構の理解によって、自然界に生息する多様な動物に通底する生理機能の理解に新たな視点を提供することが期待できる。今年度は、計測機器を動物に装着するための条件を検討しつつ、解析ソフトウェアの開発を行った。研究代表者はこれまでに、当該分野でのデータ解析に広く用いられている解析ソフトウェア・エソグラファーを開発・公開しているが、今年度は大幅な改良を加え、エソグラファー・バージョン2を公開した。この改良によって、静止画像記録計で取得されたデータの解析が可能となったほか、ソフトウェアの操作性が大幅に改善した。また、日本語と英語のマニュアルを作成し、ソフトウェアとともにホームページ上で公開した。また、無拘束下のマユグロアホウドリの行動と心拍数の関係を調べたところ、飛翔中は97%の時間は滑空に費やしており、羽ばたきを行うのはわずか3%の時間であることが分かった。加えて、滑空時の心拍数は、水面で休息しているときの心拍数とほほ同じであり、この動物種では空中での移動に必要なエネルギー代謝量が、水面休息時と変わらないことを示唆する結果が得られた。
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