研究課題
動物の恒常性維持機構の解明は、主として陸上環境を念頭に研究がこれまで為されてきた。しかし、地球上には生活の大部分を空中や水中で過ごす哺乳類、鳥類が数多く生息している。これらの動物が、どのように非陸上空間で体内の恒常性を維持しているか調べるのは、これまで困難であった。本研究では装着可能な小型計測機器を用いることで、自然界で動物が自発的に飛翔・潜水を行う際の生理状態を調べる。従来とは異なる空間軸における恒常性維持機構の理解によって、自然界に生息する多様な動物に通底する生理機能の理解に新たな視点の提供が期待できる。最終年度である今年度は、これまで得られた知見を元に非陸上空間での動物の生理状態の一般的特性をより深く掘り下げることに力点をおいた。本研究にて、新たに開発した方法によって、細かい時間スケールでの無拘束下の動物のエネルギー消費量の推定が可能となった。この方法によれば、鳥類が一回羽ばたく時に消費するエネルギー量は、体重1kg当たり3.6ジュールと推定された。これまでに陸上哺乳類では体サイズにかかわらず、一歩歩く時に、体重1kg当たり5.0ジュールが消費されることが報告されている。同様に、海棲哺乳類であるアザラシ類では、一回足ひれを動かす毎に体重1kg当たり2.4ジュールを消費する。これらのことより、動物の移動をエネルギー消費という観点でみると、空中での移動は、陸上での移動と水中での移動の中間程度であると位置づけることが可能であるのかもしれない。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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J. Exp. Biol.
巻: 216 ページ: 3175-3182
10.1242/jeb.079905