研究概要 |
(1)VSP刺激によるTRP電流とPI(4,5)P2のFRETによる定量的解析: 前年度までの結果から、ホスホイノシチド、特にPI(4,5)P2の減少がTRP電流の抑制機構に重要な鍵を握っていることが示されてきた。 本年度はTRPチャネルと PI(4,5)P2の親和性算出を試みた。パッチクランプ法とPH-domainを用いたFRETによる同時測定を行い、TRPC3/C6/C7の3つのチャネルについて、それぞれ検討した。その結果、約0.7,2,10 μMと異なっていることなどを明らかにした。 (2)カルバコール刺激によるTRP電流とPI(4,5)P2のFRETによる定量的解析: より生理的な条件下におけるTRP電流の測定とPI(4,5)P2の測定を実施した。 両者の測定方法は(1)と同様に行っているが、この場合、ムスカリン性作動薬であるカルバコールやバソプレッシンを作用させ、PI(4,5)P2を生理的に分解させた。 受容体アゴニストの濃度を変えるなどして、様々なkineticsにおいてデータを取得。TRP電流とPI(4,5)P2の相関性を見るとともに、(3)のモデルとの適合性に用いた。 (3)PI(4,5)P2と連動したTRPC電流のモデル化: イノシトール代謝系の単純化モデルと、これに連動したTRPCチャネルのモデルを構築した。PI(4,5)P2濃度などと連動したイオンチャネルの制御システムをモデル化した。その後、(1)で決めたパラメータを導入し、モデルの最適化を施すとともに、未知の因子をモデルから産出、検討した。また、モデルにおいて予測される結果と実験的に得られたデータを検証し、モデルの整合性を確認した。
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