1.記憶ヘルパーT細胞を再活性化させる抗原提示細胞の動態解析 蛍光色素で標識した抗原をマウスに投与し生体内における抗原を追跡した結果、二次免疫応答特異的に骨髄への抗原集積が観察され、その多くがMHC classII陰性の類胴内皮細胞に付着していることを発見した。また一部の抗原は、MHC classII陽性細胞の細胞表面に付着あるいは細胞内に取り込まれており、それらMHC classII陽性細胞の大部分が成熟B細胞であることを明らかにした(投稿準備中)。二次免疫応答時における記憶ヘルパーT細胞への抗原提示に対して、一次免疫応答時に主として抗原提示を行う樹状細胞が働くのではなく、成熟B細胞が主として働くことが考えられた。 2.骨髄における記憶ヘルパーT細胞と記憶プラズマ細胞との相互作用における解析 既にCD69欠損マウスは他の細胞集団が正常にもかかわらず、骨髄記憶ヘルパーT細胞のみを欠損していることを明らかにしている(投稿中)。この欠損マウスの解析によって、骨髄記憶ヘルパーT細胞はB細胞上の抗体の親和性成熟には影響を与えないが、プラズマ細胞の骨髄への定着を調節していることがわかった。また抗原特異的ヘルパーT細胞は、二次リンパ器官で活性化し長期生存するために骨髄に移動する際、CD69を接着分子として用いることも明らかにしており、現在長期生存に必要なニッシェへ移動するために骨髄内で必要な他の接着分子やケモカインなどを同定し、記憶ヘルパーT細胞の発生段階をさらに明らかにしようとしている。その上で平成23年度には、記憶ヘルパーT細胞がプラズマ細胞の骨髄への定着をどのように調節しているのかを明らかにしていきたい。
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