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2011 年度 実績報告書

記憶ヘルパーT細胞の生体内における役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22689014
研究機関千葉大学

研究代表者

常世田 好司  千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (20362402)

キーワード免疫記憶 / ヘルパーT細胞 / 骨髄 / 二次免疫反応 / 抗原提示細胞
研究概要

骨髄における記憶ヘルパーT細胞と記憶プラズマ細胞との相互作用
われわれは免疫記憶の中枢として働く記憶ヘルパーT細胞は二次リンパ器官において発生後8週間以内に骨髄へ移動し、その後何ヶ月も骨髄に定着し続けることを発見した。しかしながら、ヘルパーT細胞がどのような分子メカニズムで二次リンパ器官から骨髄へ移動するのか不明であった。そこで、記憶ヘルパーT細胞が骨髄中で休止状態にもかかわらず、活性化マーカーCD69分子を発現していることに注目し、当研究室で作製したCD69遺伝子欠損マウスを解析することで、エフェクターヘルパーT細胞が骨髄へ移動する際にCD69分子が重要な働きを持つことを明らかにした。CD69遺伝子欠損マウスでは免疫後の脾臓やリンパ節、末梢血でのエフェクターヘルパーT細胞の増殖・分化が正常であるにもかかわらず、骨髄の記憶ヘルパーT細胞のみを欠損することが明らかになった。さらにCD69特異的抗体による骨髄への移行能への効果を解析した結果、脾臓への移行には異常がなかったにもかかわらず、骨髄への移行には有意に異常が見られた。これらのことより、CD69は二次リンパ器官で活性化したヘルパーT細胞が骨髄に移動するためのホーミングレセプターとして働いていることが示唆された。CD69遺伝子欠損マウスの液性免疫反応を評価したところ、免疫早期の抗体価や脾臓におけるプラズマ細胞数には差がないにもかかわらず、高親和性抗体価や骨髄におけるプラズマ細胞数には著しい欠損が見られた。CD69遺伝子欠損マウスでは、濾胞ヘルパーT細胞や胚中心B細胞、胚中心の形成は正常に見られることより、今まで知られていない液性免疫における胚中心反応以降でのヘルパーT細胞の役割が明らかになったと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

初年度の研究を発展させた他細胞との相互作用の研究やCD69遺伝子欠損マウスの解析により、当初の計画ではなかった、骨髄記憶ヘルパーT細胞の役割という大きな課題を解決することができた。

今後の研究の推進方策

骨髄記憶ヘルパーT細胞の役割を明らかにしたため、大きな研究軸を確立することが出来た。骨髄での新規に明らかになったT-B細胞相互作用をより明確にすることを目標に、当初の研究計画通り、研究を進めていきたい。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Type II membrane protein CD69 regulates the formation of resting T-helper memory2012

    • 著者名/発表者名
      Shinoda, K., Tokoyoda, K., Hanazawa, A., Hayashizaki, K., Zehentmeier, S., Hosokawa, H., Iwamura, C., Koseki, H., Tumes, J. D., Radbruch, A., and Nakayama, T.
    • 雑誌名

      Proc. Natl. Acad. Sci. USA

      巻: 109 ページ: 7409-7414

    • DOI

      DOI:10.1073/pnas.1118539109

    • 査読あり
  • [雑誌論文] IL-22 attenuates IL-25 production by lung epithelial cells and inhibits antigen-induced eosinophilic airway inflammation2011

    • 著者名/発表者名
      Takahashi, K., Hirose, K., Kawashima, S., Niwa, Y., Wakashin, H., Iwata, A., Tokoyoda, K., Renauld, J.-C., Iwamoto, I., Nakayama, T., Nakajima, H.
    • 雑誌名

      J.Allergy Ciln.Immunol.

      巻: 128 ページ: 1067-1076

    • DOI

      10.1016/j.jaci.2011.06.018

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Eomesodermin controls interleukin-5 production in memory T helper 2 cell through inhibition of activity of the transcription factor GATA32011

    • 著者名/発表者名
      Endo, Y., Iwamura, C., Kuwahara, M., Suzuki, A., Sugaya, K., Tumes, J.D., Tokoyoda, K., Hosokawa, H., Yamashita, M., Nakayama, T.
    • 雑誌名

      Immunity

      巻: 35 ページ: 733-745

    • DOI

      10.1016/j.immuni.2011.08.017

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Signals controlling rest and reactivation of T helper memory lymphocytes in bone marrow

    • 著者名/発表者名
      Tokoyoda, K., Radbruch, A
    • 雑誌名

      Cell.Mol.Life Sci.

      巻: (in press)

    • DOI

      10.1073/pnas.1118539109

    • 査読あり
  • [学会発表] 骨髄におけるTヘルパー記憶の成立/Establishment of T helper memory in bone marrow2011

    • 著者名/発表者名
      Tokoyoda, K., Shinoda, K., Hanazawa, A., Hayashizaki, K., Radbruch, A., Nakayama, T.
    • 学会等名
      第40回日本免疫学会学術集会
    • 発表場所
      幕張
    • 年月日
      2011-11-28
  • [学会発表] 多発性筋炎マウスモデルにおける肥満細胞の役割の解析/Crucial roles of mast cells in a murine model of polymyositis2011

    • 著者名/発表者名
      横田雅也、鈴木浩太郎、中込大樹、岩田有史、常世田好司、中山俊憲、上阪等、中島裕史
    • 学会等名
      第40回日本免疫学会学術集会
    • 発表場所
      幕張
    • 年月日
      2011-11-27
  • [学会発表] IL-22は気道上皮細胞によるIL-25産生を抑制し、アレルギー性気道炎症を制御する2011

    • 著者名/発表者名
      高橋健太郎、廣瀬晃一、川島沙紀、丹羽祐輔、若新英史、岩田有史、小林芳久、常世田好司、中山俊憲、谷口正実、秋山一男
    • 学会等名
      第61回日本アレルギー学会秋季学術大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011-11-11
  • [学会発表] 骨髄と免疫記憶2011

    • 著者名/発表者名
      常世田好司
    • 学会等名
      第20回日本バイオイメージング学会学術集会
    • 発表場所
      北海道(招待講演)
    • 年月日
      2011-09-01

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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