研究課題
本研究計画の2年度である23年度は、初年度に開発したイメージングシステムを用い、粘膜組織における生体防御と微生物の時空間制御を解析した。微生物の動態解析に介しては、化学発光を基盤とした微生物増殖検出システムを用い、肺炎球菌に対する経鼻ワクチン効果を解析する系を確立した。本システムを用いることで、同一個体における非侵襲的なワクチン評価が可能となり、ワクチン用DDSの機能評価を行うことが出来た。また常在微生物については、生存シグナルプローブを用い、腸管リンパ組織であるバイエル板の内部に存在する常在細菌として同定したAlcaligenesが樹状細胞内で生存していることを示した。一方、宿主免疫系に関してはマクロ共焦点レーザー顕微鏡を用いたバイエル板の組織レベルでの3次元観察システムを用い、抗原提示細胞として機能することが知られている樹状細胞が、バイエル板においてはT細胞領域の形成にも関わること、その機能にストローマ細胞から産生されるリンフォイドケモカインが重要であることを新たに見いだした。特に経時的な細胞分布の変化が解析出来るようになったことで、樹状細胞によるバイエル板T細胞の領域形成においては、ナイーブT細胞のバイエル板への進入ではなく、進入後のT細胞領域での滞留に樹状細胞が重要であることを示すことが出来た。これらの結果は、宿主と微生物の時空間的なイメージング解析が可能となることで初めて得ることの出来た知見であると考える。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (10件) 図書 (2件)
Blood
巻: 119 ページ: 2768-77
PLoS One
巻: 7 ページ: e32094
doi:10.1371/journal.pone.0032094
J Immunol
巻: 186 ページ: 4253-62
表面
巻: 49 ページ: 13-22
細胞工学
巻: 30 ページ: 409-412
Drug Delivery System
巻: 26 ページ: 419-421
アレルギー免疫
巻: 18 ページ: 66-77
実験医学増刊 免疫記憶の制御と疾患治療
巻: 29 ページ: 100-105