研究課題/領域番号 |
22689017
|
研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
長谷 耕二 独立行政法人理化学研究所, 免疫器官形成研究グループ, 上級研究員 (20359714)
|
キーワード | 膜ナノチューブ / M-Sec / RalA / TNFaip2 / Exocyst複合体 |
研究概要 |
最も発達した高次生命機能の一つである免疫系では、リンパ組織の形成、免疫応答の開始とその終結など、あらゆる局面において細胞間の情報伝達が重要な役目を果たしている。最近の研究で、離れた細胞間に細長い膜ナノチューブが形成されることで、細胞間相互作用が促進されることが報告されている。この細胞と細胞を繋ぐ細管は、膜ナノチューブ(tunneling nanotube;TNT)と呼称され、免疫細胞における新たな情報伝達手段として大きな注目を集めている。しかし、これまでのTNTに関する報告は主として培養細胞系での現象論に留まっており、TNT形成の分子機構についてはほとんど分かっていなかった。 研究代表者は、これまでにバイエル板上皮層に点在するM細胞同士がTNT様の膜構造を介して連結していることを見出した。更にはM細胞に発現する遺伝子群のうち、Secファミリーと相同性を有する機能未知分子(M-Secと命名)がTNT形成を促進することを見出した。そのメカニズム解析の一環として、今年度は、M-SecがExocyst複合体に含まれるか否かの検討を行った。生化学的な解析から、M-SecはSecファミリー複合体には含まれず、全く異なる分子群からなる複合体を形成することが明らかとなった。また様々なM-Secトランケーションフォームの解析から本分子はN末側で膜にアンカリングし、C末側でエフェクター分子と相互作用することが示された。 また今年度は、M-Secノックアウトマウスの作製が終了し、来年度へ向けて表現型の解析を実施する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ねこれまでの計画書の内容に沿って研究が順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続きM-Secによる膜ナノチューブ形成機構を解析すると共に、M-Secノックアウトマウスが作製できたため、その表現型解析を急ぎたい。同時にその会合分子であるRalAのコンディショナルノックアウトマウスの作製も試みる。
|