研究課題
初年度にあたる22年度においては、以下の4項目を実施した。(1)大規模遺伝子解析に適した検体収集による研究リソースの構築:健康診断サンプル(計5,000例のゲノムDNA、600例のRNA/cDNA)、痛風症例(計600例のゲノムDNA、500例のRNA/cDNA)についてのサンプルの収集と臨床データの整理を実施した。(2)ABCG2の頻度の高い個人差の評価:大規模の健診サンプル(5,000例)と痛風症例(600例)を対象に、2つの機能低下型多型(Q126X,Q141K)についてタイピングを実施し評価した。さらに発症年齢に与える影響について評価し、若年型痛風の主要病因を見いだすことができた(論文投稿中)。(3)ABCG2の稀な個人差の評価:ABCG2の全コーディング領域のre-sequencingを数百例程度の痛風症例を対象として実施している。同定された候補の変異をABCG2に導入したのち、ベジクルの実験系を用いた分子機能解析により尿酸輸送の変化を検討して、機能消失型変異を決定した。これらの変異を多数例の症例、コントロールサンプルにおいて検討を進めている。(4)痛風の新規の主要病因遺伝子の同定:別の候補トランスポーター遺伝子を対象とした「分子機能を指標とした遺伝学的解析」については、新たな尿酸トランスポーター候補分子の解析が進んでいる。23年度中には論文投稿ができるよう、準備を進めている。この他、22年度に構築された研究リソースを活用して、尿酸トランスポーター遺伝子解析が予定通り進行している。そのため、本研究の目的である、1)痛風遺伝子ABCG2の変異による発症リスクの個人差評価法を確立すること、さらに、2)痛風の新規の主要病因遺伝子を同定し、これらの痛風遺伝子を活用した痛風の早期予防法を開発すること」を達成するための準備は十分に整ってきている。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (25件) 図書 (3件)
臨床検査学雑誌 Medical Technology
巻: (印刷中)
痛風と核酸代謝
巻: 34 ページ: 159-169
Neurosci Res
巻: 68 ページ: 232-240
リウマチ科
巻: 44 ページ: 689-694
内科系総合雑誌 Modern Physician
巻: 30 ページ: 1385-1388