研究概要 |
【目的】大阪大学法医学教室では年間約300例の法医解剖を行い,さまざまな事例の法医鑑定を行っている。平成22年1月に解剖室内に法医学専用の4列マルチスライスCTを設置した。 本研究は、法医学分野の症例について、死後CT画像を用い、窒息死の病態解明を行うことを目的とする。食物誤嚥による窒息死のほか、縊頚、絞頚、扼頚、溺水などその他の窒息事例についても詳細な画像解析を行うことにより、法医診断学における新たな窒息死の診断手段の確立を目指すことを目的とする。 【対象と方法】当教室で行われる解剖遺体を対象とし,マルチスライスCTを用いて,全身撮像を行う。撮像は,頭部と体幹部に分け,それぞれを1mm,2mmスライスで撮像する。 得られたデータはネットワーク型ワークステーション(アクエリアスネット)を用いて,二次元はもちろん,三次元の立体画像の再構成も行う。 【経過と計画】本年度は,窒息事例を含むさまざまな法医解剖例の全身CT画像データの収集に努め,これまでに150例分取得することができた。これに本研究開始以前の画像データも合わせると合計210例分の解析可能な画像データがある。また,本年度は,当教室でのデータに加え,海外の研究協力者からも窒息死に関する画像データの提供を受けた。 来年度は,引き続き画像データの収集を続けるとともに,それらの症例を対象として,詳細な読影,画像解析に着手し,最終的に各種窒息に特徴的な画像所見の発見やその診断方法の確立を目指す。
|