研究概要 |
クローン病は原因不明の慢性腸疾患であり、遺伝要因の強い多因子疾患である。欧米より報告された関連遺伝子の多くに人種差があるため、日本人検体を用いたクローン病の解明が必要である。 1) 全ゲノム関連解析を用いたクローン病関連領域の同定 我々は約55万SNPを用いた全ゲノム相関解析(GWAS))を行った。手順としてa) 別サンプル集団を用いた新規CD関連SNPの検証、b) 関連領域周辺のSNP探索および高密度SNP地図の作成、c) 全ゲノム領域imputation(遺伝子型の推定)解析である。 上記解析により、新規クローン病関連領域を2箇所((rs1487630 (4p14), P = 2.40x10-11; オッズ比(OR)=1.33), rs7329174 (13q14, SLC25A15-ELF1-WBP4領域), P =5.12x10-9; OR=1.27) ))を報告した(Yamazaki et al. 2013)。 2) 欧米人と日本人のクローン病遺伝的背景の違い 欧米人集団を用いたCDの大規模メタ解析により71カ所のCD関連領域が報告された(Franke et.al 2010)。しかし本領域は含まれておらず、日本人を含む東アジア人CD特異的な関連領域である可能性を示唆した。当該SNPが日本人検体を用いて人種共通のクローン病関連遺伝子であるかどうかを検討した。その結果、71SNPのうち11SNPで強い関連を確認した。また自然免疫に関与する遺伝子の多く(NOD2, IRGM, ATG16L1)で関連を確認することはできなかった。(Hirano et al. 2013)
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