研究課題/領域番号 |
22689026
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹内 純 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 准教授 (10451999)
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キーワード | 心筋分化 / 心臓前駆細胞 / エピジェネティクス / クロマチン因子 |
研究概要 |
本研究は、特定の細胞運命プログラムを理解し、分化誘導技術を開発することを趣旨としたものである。心臓は形・機能の異なった多くの細胞群が互いに協調的な連携をとることで構成された統合器官であるが、共通の前駆細胞からどのようなメカニズムで特定の細胞に分化していくのか明らかにされていなかった。研究代表者は特定細胞分化に関わる生理活性物質を発見し、この特異な機能を3つの観点(1;心房筋・心室筋特異的分化、2;心臓前駆・幹細胞分化、3;ペースメーカー分化)から理解することをテーマに掲げて研究を行ってきた。1に関しては、RNAi法を用いて候補因子の機能阻害実験を行ってきた。その中で、心房誘導に関わる分泌性因子を一つ同定した。現在強制発現を行なうためのウイルス作製を行なっている。さらに、心室筋内において心筋成熟期に連れて発現量が減少するエピ因子を見出した。このエピ因子を恒常的に発現するTGマウスでは心奇形を伴わなかったが、心筋梗塞マウス(MIマウス)においては極度に心不全抑制効果がみられた。2においては、既に特許申請(東京大学知財部管理番号:32B121002-1)を行ない、さらに心臓前駆細胞を誘導する特定のプログラム因子の同定まで至った。現在論文作製中であり、さらに特許申請を行なうと同時に線維芽細胞や皮膚組織を用いてリプログラム可能か、実験予定である。3に関しては、1の候補因子の中に誘導活性を持った因子を見出した。 さらに、上記研究のまとめた論文作製を行なった(van Weerd et al.,Cardiovasc. Res.2011)。これと1の結果を基に、心筋再生因子の同定を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心室筋vs心房筋と心臓幹・前駆細胞研究に関しては、予想以上に進展している。その反面、3番目のペースメーカ細胞誘導因子においては、予算の限られていることによりマウスの導入が出来なかったことが大きく影響している。今年の予算の範囲内で行なえる範囲で研究を行う
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今後の研究の推進方策 |
1;心房筋vs心室筋、2;心臓幹細胞、3;心筋再生因子の3つの研究においては論文投稿を目指す。同時にそれぞれの分野において特許申請も行なう。
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