研究課題
iPS細胞は線維芽細胞にES細胞特異的な転写因子を導入し樹立されるES細胞類似多能性幹細胞である。患者特異的心筋細胞を得るにはiPS細胞を樹立・維持しながら分化・選別していく。我々は、心臓特異的転写因子を線維芽細胞に導入することで、直接心筋細胞が分化誘導可能性ではないかと考えている。これまで様々な筋特異的転写因子をレトロウィルスにより線維芽細胞に遺伝子導入し心筋細胞分化を検討し心筋特異的遺伝子発現が大きく上昇することを確認した。線維芽細胞から心筋細胞直接分化誘導方法を開発することで、容易かつ迅速に心筋細胞が効率に得られ心筋再生医療へ応用されることが期待される。線維芽細胞に遺伝子導入する方法として、iPS細胞の樹立にも汎用されている強い感染力と強い発現を有するpMXsを用いたレトロウィルスを使用している。16種類の心臓で発現している転写因子及び転写補助因子をレトロウィルスベクターに組み込み、線維芽細胞へ遺伝子導入することにより心筋細胞分化を試みた。定量的RT-PCR法にても心筋特異的遺伝子の発現上昇が確認されている。また転写因子以外の転写補助因子(Smyd1,Hopx,Jmjdla,Gadd45b,Smarcd3等)も用いているが、これまでに用いた転写補助因子では心筋特異的遺伝子の発現に大きな変化を与えることはなかった。また免疫染色を行うことにより、分化細胞が心筋構造タンパクを発現して、形態的に心筋細胞に分化していることも確認されている。
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J Exp Med.
巻: (In press)
心臓
巻: 43(1) ページ: 10-13
Cell Stem Cell.
巻: 7(1) ページ: 11-14