研究課題
主な研究結果として、自閉症的社会行動傾向が強い健常成人男性ほど、右島皮質の灰白質体積が小さく、この右島皮質と前部帯状皮質腹側部の関連が弱いことを見出した。またさらに、アジア人種で自閉症スペクトラム障害(ASD)との関連が報告されているオキシトシン受容体遺伝子多型rs2254298Aを持つ男性はこの右島皮質の灰白質体積が小さいことを示し、自閉症傾向と自閉症で共有する神経遺伝学的背景の解明を促進する成果と考えられた(SCAN, 2013)。また、40名の同障害当事者を対象としてランダム化二重盲検でクロスオーバーの医師主導臨床試験を行ない、オキシトシンの単回投与によって、元々減弱していた内側前頭前野の賦活が回復し、元々少なかった表情や声色を活用して相手の友好性を判断することが増えることを示し、元々の障害が行動と神経の両レベルで回復することを示唆した(JAMA Psychiatry, 2014)。また、統合失調症についても、プロトン核磁気共鳴スペクトロスコピーで測定した内側前頭前野のグルタミン酸-グルタミン総和とNーアセチルアスパラギン酸濃度の低下は、統合失調症の罹病危険状態や病初期では認められず慢性期にのみ認められると言う新たな知見を見出し、統合失調症の病態進行の新たな神経生化学的バイオマーカーとなる可能性を示唆した(Schizophrenia Bulletin, 2013)。さらに、批判的、肯定的、中立的内容の言語刺激を聴覚提示して注意機能と感情処理の相互作用の健常者との相違を検討した。健常者と比べ、批判的内容の言語刺激では有意に干渉作用が減少し、この減少と陽性症状、妄想関連行動の強さが相関していた。聴覚提示された批判的な言葉に対する感情処理と注意機能の相互作用の異常が精神病症状の成因に関与する可能性を見出した(PLOS ONE 2013)。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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