研究課題/領域番号 |
22689035
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
花岡 宏史 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (50361390)
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キーワード | 癌 / 薬学 / 診断 |
研究概要 |
臨床応用が可能な、がん診断用PET薬剤として『^<76>Br標識アミノ酸』を開発することを目的として、本年度も^6Brの大量製造と^<76>Br標識アミノ酸の設計・合成およびその評価を行った。^<76>BrはCu_2^<76>Seターゲットをサイクロトロンで照射し乾式蒸留法により分離することにより製造を行うが、温度の最適化を行うことにより、^<76>Brの大量製造法を確立した。本条件を用いれば、臨床に用いるのに十分な量の^<76>Brを製造することが可能であると考えられる。昨年度の研究において、α位にメチル基が導入されたフェニルアラニン誘導体の^<76>Br標識体を作製し、様々な検討を行ったところ非標的臓器への滞留の問題が生じた。この化合物の高い脂溶性が要因と考えられたことから、本年度は脂溶性を低下させる目的でα位にメチル基がない^<76>Br標識フェニルアラニン誘導体を作製し、その体内動態を検討した。その結果、α位のメチル基が無くなることで脂溶性は低下したものの、同様の非標的臓器への滞留が認められた。このことから単純に脂溶性だけが^<76>Br標識フェニルアラニン誘導体の非標的臓器への滞留性の要因ではないことが明らかとなった。この結果は今後の新たな^<76>Br標識アミノ酸誘導体設計において有用な情報を与えるものである。また^<18>F標識アミノ酸を用いてL体とD体の体内動態の違いについても検討を行った。その結果、D体はL体に比べて腫瘍集積性は低いものの、血液や各臓器への滞留性が非常に低く、体内からすみやかにクリアランスされることが明らかとなった。このことから^<76>Br標識アミノ酸誘導体においても場合によってはD体を検討すること有効である可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規^<76>Br標識アミノ酸誘導体の前駆体の合成が予定よりも時間がかかっているが、新たな^<76>Br標識アミノ酸誘導体の設計および評価を行い、最適化に向けて研究が着実に進んでいる。また^<76>Brの製造は既に確立することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、(1)アミノ酸トランスポーターによる認識の向上によるさらなる腫瘍集積性の向上、(2)水溶性の向上等による非標的臓器からの速やかなクリアランス、の2点を考慮して^<76>Br標識アミノ酸誘導体の設計・合成を行う。合成した化合物は評価を行い、その結果に基づいて新たな誘導体の設計を行うことで最適化を行い、有用性の高い^<76>Br標識アミノ酸の開発を行う。
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