研究課題
本研究の目的は、第一にblast wave (BW)脳損傷モデルにおいて高次脳機能に関するプロファイルを行動科学的、電気生理学的、細胞生物学的に明らかにすることである。本年度はまず、その前段階として、任意の衝撃波を照射後の頭蓋内伝播に関する工学的検討を行った。生体を模擬した多層媒体モデル(ゼラチン(脳)、水(髄液)、アクリル(頭蓋骨)、空気)の伝播動態を衝撃解析ソフトウエアANSYS AUTODYNによる数値解析を行った。微小爆薬起爆後、波はゼラチン中を伝播し、減衰しながら水界面に到着、ゼラチン-水間では音響インピーダンスは差が少ないため、界面で反射はなく透過した。その後、アクリルへ到達し圧縮波として一部反射、透過して、透過した波は空気界面に到達し膨張波として反射、アクリル-水間で膨張波が一部透過、一部は圧縮波として反射して、透過した膨張波が水、ゼラチン中を伝播して、負圧領域を拡大した。水-アクリル間で反射した波は、逆転して圧縮波となり、アクリル内で減衰しながらアクリル-空気、アクリル-水の各界面で膨張、圧縮と反転を繰り返した。水、ゼラチン内の負圧領域は、気泡が発生するのに十分な負圧になっていた。水-アクリル界面における反射波による最大圧力は、アジ化銀の質量が大きい程最大圧力が高く、反射面(水-アクリル界面)に近い程最大圧力が高かった。媒体が複雑化に伴い、水-アクリル界面での反射波到達直後に膨張波が到達することでこの部分での圧力変動は激しくなり、この領域の与える負荷が大きいことが予想され、動物実験とモデル実験での可視化結果に合致する所見であった。電気生理学的変化の検討は特殊なシールドを製作し、内部でBW照射後の脳波測定を開始し、知見の蓄積を行っている。今年度の検討の結果を受けて最終年当初に高次脳機能障害を起こし得る部位を確定し、行動解析に移る予定である。
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