研究概要 |
ファージディスプレイ抗体ライブラリを用いて抗HLAペプチド複合体抗体を樹立し,腫瘍組織でのHLAペプチド複合体の発現を解析することで免疫応答逃避のメカニズムを探るために,ナイーブドナー由来大規模scFvファージディスプレイライブラリの構築を行った.健常者36人の末梢血単核球を収集し,total RNAを抽出した.これらよりoilgo dTカラムを用いてmRNAを精製しIgM特異的オリゴプライマーを用いて抗体由来の1st-strand cDNAを合成する.可変領域重鎖(Variable region of heavy chain ; VH)および可変領域軽鎖(Variable region of light chain ; VL)特異的プライマーセット(合計54種)を用いたPCRによりVH,VL領域を増幅した.これらのPCR断片を全て独立したgel extractionを行って精製し,精製したPCR産物の1/10をテンプレートとしてSecondary PCRにより制限酵素認識部位導入・制限酵素処理をしたのちに,これらをphagemid vectorにクローニングした.VH,VLグループの組み合わせを変えて合計14個のsublibraryを構築して大腸菌に形質転換し,Sublibraryあたり1x107クローンを含有する合計1-2x108のscFvファージディスプレイライブラリを構築した. 次にビオチン化HLA/ペプチド複合体モノマーを抗原として,ライブラリのバイオパニングを行った.HLA-24/PBFペプチドを認識するscFvクローンを3個クローニングした.うち2クローンでscFvからヒト型IgG1類似抗体を作製した.本抗体はHLA/ペプチド複合体を特異的に認識した.
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