研究概要 |
症例の2例およびHLA-A2症例の1例で,ペプチドワクチン接種後にペプチド特異的CTLの増加が認められた.臨床効果はいずれもPDであった.今後さらに症例を重ねてペプチドワクチンの安全性と効果を検証し,臨床第II相試験計画の基盤とする. また,我々は腫瘍における標的HLA/ペプチド複合体の効率的な検出・定量を目指して,骨肉腫抗原PBFをモデルとしてHLA/ペプチド複合体特異的抗体(ナチュラルエピトープ抗体)の作製を試みた.ヒト末梢血単核球と摘出扁桃のRNAよりscFvファージディスプレイライブラリを作製した.次にscFvを発現するライブラリファージと抗原(HLA-A2/PBFペプチド)のパニングを行った.パニングの後, scFvファージ94クローンをELISAでスクリーニングしてHLA-A2/PBFペプチドに反応する1クローンを同定した.このscFvクローンをヒトIgG1サブタイプ(scFv-hIgG1)に変換した. scFv-hIgG1はペプチドをパルスしたT2細胞をFACS解析で認識し,また表面プラスモン共鳴解析で10e-9Mオーダーの強い親和性を示した.このナチュラルエピトープ抗体は,腫瘍細胞表面のHLApを検出する上で今後有用と考えられた.またこれらの知見はナチュラルエピトープ抗体を発現する人工CTLの開発につながると考えられる.
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